【完全版】食事で整える、あなたの心と体 ― 目的別・栄養まるわかりガイド

Life-well Compass

【はじめに】

忙しい日々の中で、つい後回しにしてしまう食事。でも、体や心の不調の原因は、食事から始まっていることが少なくありません。

このガイドでは、基本的な栄養素と、具体的に「何を食べたらいいか」を目的別にわかりやすく整理。 「疲れやすい」「集中できない」「なんとなく不調」そんな悩みを感じている方へ、毎日の食事を変えることで心身が整うヒントをお届けします。

食事は単なる栄養補給ではありません。目的や年代、性別、体質によって食事法は変化すべきものです。
この記事では、IIN(Institute for Integrative Nutrition)で学んだ知見をベースに、ニーズに応じて柔軟に使える「栄養と食事法のフレームワーク」を整理しました。

食の“正しさ”ではなく“適合性”を大切にするためのベースとして、ぜひ活用してください。


① 栄養素ガイド

まずは基本的な栄養素の役割と主な食材を見ていきましょう。この後紹介する心身の状態や年代、などステータスによって何の栄養素が必要か確認した上で、このガイドに戻り具体的にどの栄養素をどの食材で摂れば良いかを結びつけて見ましょう。

難しい言葉も並んでいるので、あくまで辞書的に活用してみることをお勧めします。

🔹マクロ栄養素
栄養素主な役割主な食材例
炭水化物主なエネルギー源。脳や神経系の主要燃料玄米、さつまいも、バナナ、オートミール
タンパク質筋肉・臓器の修復、酵素・ホルモンの構成要素魚、卵、大豆製品、レンズ豆、鶏胸肉
脂質(オメガ3含む)ホルモン合成、細胞膜形成、脂溶性ビタミン吸収 + 抗炎症・脳の健康オリーブオイル、ナッツ、青魚、亜麻仁油、チアシード
🔹オメガ3脂肪酸(脂質の一種)
種類主な機能主な食材例
ALA(α-リノレン酸)抗炎症・脳の健康維持亜麻仁油、チアシード、くるみ
EPA炎症軽減、心血管サポートいわし、さば、さんま
DHA脳・視神経の発達と維持サーモン、マグロ、魚油

1日の目安摂取量(EPA+DHA)

  • 一般成人:250〜500mg/日
  • 炎症・うつ・PMS:1000〜2000mg/日
  • 妊婦・授乳婦:300〜500mg/日(DHA中心)
  • ALAは植物性由来のため、2〜3g/日が目安

サプリ選びのポイント

  • EPAとDHAの含有量を確認
     → 魚油1000mg中の“実質EPA+DHA”量に注意
  • トリグリセリド型(TG型)や再エステル型(rTG型)がおすすめ
     → 吸収効率が高い。安価なEE型は吸収率が低め
  • 重金属(特に水銀)検査済
     → 第三者機関の安全証明がある製品を選ぶ
  • 酸化防止処理済み(ビタミンE配合など)
     → 魚油は酸化しやすいため、保存状態が重要
  • 植物性カプセル(ヴィーガン対応)
     → 動物性ゼラチンが気になる場合は植物由来を選ぶ
🔹応用栄養素
栄養素主な役割主な食材例
食物酵素消化補助・代謝活性パイナップル、パパイヤ、発酵食品
食物繊維血糖・コレステロール調整/腸内環境改善ごぼう、豆類、全粒穀物、海藻
水分栄養輸送・体温調整・老廃物排出水、野菜果物、スープ類
🔹ビタミン・ミネラル

ビタミン

ビタミン主な役割食材例
A視力・粘膜レバー、にんじん
D骨・免疫鮭、きのこ、日光
E抗酸化ナッツ、アボカド
K血液凝固・骨健康納豆、葉物
B群エネルギー代謝・神経サポート豚肉、卵、豆類
C免疫・抗酸化・鉄吸収促進柑橘、いちご

ミネラル

ミネラル主な役割食材例
カルシウム骨・筋肉小魚、乳製品、大豆製品
マグネシウム神経・酵素活性海藻、ナッツ
酸素運搬赤身肉、レンズ豆
亜鉛免疫・味覚牡蠣、かぼちゃの種
カリウム血圧・むくみ調整バナナ、芋類
セレン抗酸化サポートブラジルナッツ、卵

② 目的別の食事法ガイド

今の心身の状態によって体が欲している栄養は異なります。一律に何を食べれば良い、ということではなく今の状態に目を向けて、体が何を求めているかを理解した上で食材選びを楽しんでみましょう。

目的推奨アプローチ補足
減量・代謝改善低糖質+高タンパクインスリン感受性改善が鍵
筋肉増強高タンパク+適量炭水化物タイミングも重要
集中力向上血糖安定型+脂質強化卵・青魚・ナッツなど
ストレスケア抗酸化+マグネシウム+オメガ3緑黄色野菜・ベリー・青魚
PMS・更年期イソフラボン+B群+マグネシウム納豆・葉酸・亜鉛が有効

✅ 目的別チェックリスト(簡易セルフチェック)

次のチェック項目で、あなたに今必要な栄養サポートの方向性を見つけてみましょう。

お悩み・状態チェック欄おすすめ栄養素
朝からだるい・疲れやすい鉄、ビタミンB群
集中力が続かない・ぼーっとするオメガ3、良質な脂質
イライラ・気分の浮き沈みがあるマグネシウム、ビタミンC
PMSが重い/更年期の不調が気になるイソフラボン、鉄、ビタミンB6
食後に眠くなる・血糖が乱れる感じがある食物繊維、低GIの炭水化物
肌荒れ・髪のパサつきが気になるビタミンA・E・亜鉛

※2つ以上当てはまる項目があれば、その栄養素の章を重点的に読んでみましょう!


③ 年代別・性別による栄養ニーズ

現在の体の状態に加えて、年代によって必要な栄養素は異なります。ご自身の年齢ステージにとって何が必要とされる栄養であるかを意識することが大切です。

年代栄養ニーズ重点栄養素
幼少期発育と免疫鉄、カルシウム、ビタミンD
思春期骨と脳の成長タンパク質、亜鉛、B群
成人活動の持続性バランスの良い三大栄養素とミネラル
更年期女性ホルモン・骨密度サポートビタミンD、カルシウム、大豆製品
高齢期吸収低下・筋力維持プロテイン、ビタミンB12、マグネシウム

年代別栄養マップ

年代主な特徴意識したい栄養素代表的な食材例
幼少期(0〜6歳)骨や脳の発育期カルシウム、鉄、ビタミンD牛乳、小魚、卵、緑黄色野菜
小中高生(7〜18歳)成長スパート期タンパク質、亜鉛、カルシウム、ビタミンB群肉類、納豆、豆腐、卵、海藻類
青年〜中年(20〜40代)活動・仕事期バランス栄養(特に鉄、マグネシウム、脂質)レバー、ナッツ、葉物野菜、青魚
更年期(40〜60代)ホルモン変動・骨密度低下期大豆イソフラボン、ビタミンD、カルシウム納豆、味噌、きのこ類、しらす干し
高齢期(60代〜)吸収力低下・筋力維持期タンパク質、ビタミンB12、亜鉛鶏肉、卵、魚、貝類、チーズ

④季節の食材レコメンド表

季節ごとに採取される野菜や果物があり、その季節特有の食材を食べることで新鮮なエネルギーを得ることができます。下記の表を参考に季節ごとに採れる食材を意識して食べてみることをお勧めします。

季節特徴おすすめ食材主な効果
解毒・代謝切替の季節菜の花、たけのこ、ふき、いちご肝臓サポート、ビタミンC補給
暑さ対策・水分調整きゅうり、トマト、スイカ、とうもろこし体温調整、利尿、抗酸化
乾燥・免疫低下に注意さつまいも、きのこ、れんこん、ぶどう食物繊維補給、粘膜保護、腸活
冷え・蓄熱の季節大根、ごぼう、ねぎ、みかん体を温める、免疫アップ、巡り改善

※旬の食材は栄養価が高く、味も良いので積極的に取り入れましょう!


⑤にじの食材(食材の多様性で心と体を満たす)

「にじの食材」とは、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫など、虹のように多様な色の野菜や果物を意識して取り入れる食事スタイルのことです。 それぞれの色が異なる抗酸化物質(フィトケミカル)やビタミン・ミネラルを持ち、バランスのよい栄養補給につながります。

主な栄養素・効果食材例
リコピン、カプサイシン(抗酸化、血流促進)トマト、赤ピーマン、すいか
β-カロテン(免疫、皮膚・粘膜の健康)にんじん、かぼちゃ、みかん
ルテイン、ビタミンC(眼精疲労、肌ケア)パプリカ、とうもろこし、レモン
クロロフィル、鉄、葉酸(デトックス、造血)ほうれん草、ブロッコリー、ケール
青・紫アントシアニン(血管保護、脳の健康)なす、ブルーベリー、紫キャベツ

色とりどりの食材を意識して取り入れることで、自然と偏りのない食生活になり、心の状態も整いやすくなります。 「何を減らすか」より「何を増やすか」を意識する第一歩として、にじの食材を日々の食卓に取り入れてみましょう。


⑥食事の選び方にも“個性”がある ー 3つの視点

🌿 アーユルヴェーダ的食事:季節・体質(ドーシャ)に応じて選ぶ

アーユルヴェーダでは、人の体質を「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」という3つのドーシャに分類します。 季節・気候・年齢・心の状態に応じて、どのドーシャが乱れているかを見極め、バランスを整える食事を選びます。

  • ヴァータタイプ(風のエネルギー):冷えや乾燥に弱い → 温かく油分のある料理を
  • ピッタタイプ(火のエネルギー):熱がこもりやすい → 冷性・甘味・苦味のある食材を
  • カパタイプ(水・土のエネルギー):重だるさや停滞 → 軽く温かいスパイス料理を

また、春はカパ、夏はピッタ、秋冬はヴァータが乱れやすいとされ、季節ごとの食事調整も重視されます。

🧘‍♀️ インテュイティブ・イーティング:身体の声に従って選ぶ

インテュイティブ・イーティングとは、外部ルールや制限ではなく「自分の身体の感覚」に従って食べること。

  • 空腹・満腹の感覚に気づき、自然なタイミングで食べる
  • 「良い・悪い」で食材をジャッジせず、自分にとっての“ちょうどいい”を探る
  • ダイエット思考からの解放を目指す、やさしい栄養アプローチ

心と身体のつながりを重視し、「食欲=悪」とせず、信頼できる内なる声を取り戻す実践です。

🌎 ホリスティック栄養学:人間関係、キャリア、精神性も“栄養”とみなす

IINで提唱される「プライマリーフード(一次栄養)」の考え方では、食べ物よりも大切な“人生の栄養”があるとされます。

  • 満たされた人間関係、やりがいのある仕事、安心できる環境、自分らしい生き方
  • これらが心の満足をつくり、体に栄養が行き渡るように機能する

つまり、どれだけ完璧な食事をしていても、ストレスや孤独、不満だらけの生活では健康になれないという視点。 食事は“人生全体の一部”としてとらえ、「生き方全体を整えることが最大の栄養」と考えるのがホリスティック栄養学です。


おわりに

「何を食べるか」は「どう生きたいか」と直結しています。
クライアントの人生と目標に寄り添った“選べる食事”の地図として、このガイドを活用していただけたら嬉しいです。

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